◆◆プーチンの警戒洞察力ーKGB-

■プーチンの度胸
プーチンに出会ったことがある。
二〇〇七年のことだ
この年G8サミットはドイツが当番で、会場におけるプーチンの記者会見にて、偶然、前列五番目のちょうど真ん中に近い席に陣取ることが出来たからだ。その会場でこんなハプニングが起きた。
プーチンが一通り記者会見用のコメントを語り終え、記者たちの質問を受けようとした直後だった。前方に座っていた若い男が、いきなり、プーチン目掛けて、ビラを投げつけるようにまき始めたのだ。
一時はどうなることか、一瞬、会場に緊張が走り、私ばかりか、出席者たちの多くも、息を詰めるようにしてプーチンを見つめたものだ。
ところが、彼ときたら、マユ一つ動かさず、平然として、「そのビラを私に寄こしなさい」と言い、ビラを受け取って読み終わると、テーブルの上に置き、何ごともなかったかのように、記者の質問を受け始めた。思わず私は隣席の顔見知りの記者に、「凄い度胸ね」と小声で話しかけた。すると彼、「プーチンはもともとKGB〈秘密警察〉上がりだから、あれくらいではびくともしないさ。その彼のことだ。このビラまきの背後関係をすでにお見通しで、次の報復を念頭におきながら、記者の質問を受けているよ」と。
そういえば、当のプーチンだが、(会場では互いに笑顔で握手を交わしていたものの)この時期、すでに米大統領ブッシュとは犬猿の仲にあって、互いに火花を散らしていた。
仲の悪い理由は、一九八九年十一月『ベルリンの壁』崩壊を機に、このとばっちりを受けて、一九九一年十二月二十五日、ソ連が崩壊してしまったことにあった。これにより、第二次世界大戦終焉後、冷戦という形で世界を睥睨し、睨みを利かせてきた米ソ二大国による世界支配構造は終焉した。苦虫を嚙み潰し、臍を嚙んだのは当時旧東ドイツ・ドレスデンにて(一九八五年から一九九〇年まで)ソ連秘密警察のスパイとして第一線で暗躍していたプーチンだった。
片や有頂天になったのは冷戦勝利国アメリカである。アメリカにすれば、冷戦で一人勝ちしたのはどこか。アメリカだ。そのアメリカが世界支配をもくろんで何が悪い!
さっそくこれを機にアメリカは米国一国世界支配に着手し始める。
二〇〇三年に勃発したイラク戦争はその典型的な例だ。プーチンはこの戦争に反対だった。
当時ロシアはイスラム教系チェチェン問題で手をこまねいていたからである。その負の影響を大なり小なり受けていたEU諸国も乗り気でなく、EU主要二カ国独仏両国など、この戦争に「ノー」を突きつけたものだ。
これに気を悪くしたアメリカが打って出た次の戦略が、チェコとポーランドにミサイル防衛(MD)システムを配備することにあった。こうすることで、対ロシアのみならず、EUをも視野に入れたアメリカの、ダブルチェック=二重同時情報収集戦略を構築し、ロシアとEUに嫌がらせをしつつ、いずれロシアのみならず欧州をもアメリカの傘下に置くというのだ。

■プーチンの巻き返し
そうと察知したプーチンは、さっそく、巻き返し工作を仕掛けている。
手始めは、ドイツにおけるG8サミット開催前年二〇〇六年に発生したリトビネンコの放射性物質ポロニウム210怪死事件である。
リトビネンコが体調を崩したのは二〇〇六年十一月一日。場所はロンドン中心街のホテルの寿司バーだった。そこには、ロシア人実業家と称するルゴボイとコフツンが同席している。ルゴボイはさておき、コフツンについては、ドイツ人の元妻がおり、十月二十八日、モスクワからロンドン入りする直前、ドイツ・ハンブルクに立ち寄ってデートをしている。この事実をキャッチしたドイツ側は、彼が乗った車や手にした書類、ハンブルク郊外の元妻及び元妻の母親宅を捜索するなど、この事件は図らずも英米露三国のみならず、ドイツも巻き込む国際情報戦に発展してしまった。
  しかしそれにしても、何ゆえに、三人はロンドンのホテルで落ち合ったのか。何が目的だったのか。
一つは、彼ら三人は旧ソ連時代にはソ連国家保安委員会(KGB)、一九九一年の旧ソ連崩壊後はロシアとして新しくスタートしたロシア連邦保安局(FSB)に所属する秘密警察工作員であり、従って旧知だったことだ。しかも当時のFSB長官はプーチンだった。
二つは、リトビネンコとは何者であったか。その正体である。彼はロシア連邦保安局(FSB)元中佐で、かつては暗殺にも関与してきた有能なるスパイだった。
ところが一九九八年十一月のこと、突如記者会見を行い、「知人の暗殺指示を受けたが拒否した」とのスパイ工作員らしからぬ衝撃的な告白を行ったのだ。以後、ロシア官憲から要注意人物として監視される身となり、二度にわたって不当逮捕・投獄に遭い、その後、身の危険を感じた彼は、トルコ経由でイギリスに亡命したあと英国の情報機関のスパイに鞍替えしている。
そのリトビネンコのみが、ロンドンの病院で二〇〇六年十一月二十三日に死亡した。残りの二人はいち早くモスクワに戻り、放射性物質による中毒症状の治療を受け、一命を取り留めることが出来たからである。
これこそがプーチンの望むところであったのだ。

=中略ー

裏切り者をいかようにして処分するか。「ポロニウム210」を使用することで、時間をかけて殺しに掛かる。こうすることで国際社会=敵方への見せしめにする
 それだけではない。その延長線上で今やウクライナにまで手を伸ばし、スパイの暗躍に発破を掛けている。生え抜きのスパイとして身を起こしトップに上り詰めたプーチンの「凄さ」が、実はここにある。

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